衝撃摩擦による生地の損傷

ポリエステル54%、ウール46%素材の紳士スラックスの左腰後部分に損傷が見られました。 事故部分の繊維の状態を顕微鏡で観察すると、写真のように溶解したポリエステル繊維と先端がホウキ状に分裂した羊毛繊維が見られます。これは、強い摩擦による繊維の損傷を示しています。ポリエステル繊維は瞬間的な摩擦熱によって溶解します。 バックライトで生地構造の変化を観察すると、右方向に向かって糸が目寄れしており、左から右にかけて部分的に大きな力が加わったことを示しています。これは、生地部分が固定された状態のまま、何らかの異物と対象物の間に挟まれた状態で摩擦されたことを示しています。 また、発生部分を検証すると、左後ポケットの底辺部分に当たります。 以上から、この損傷は、着用時に左後の腰ポケットに何かを入れた状態で、左から右方向に何かと激しく接触し、その際に生地が摩擦され損傷したものであると推定されます。…





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