クリーニングで露見する繊維摩耗
ネクタイの左下側面に損傷が発生しました。 摩耗損傷には、一定の現象が見られます。 ネクタイの摩耗損傷は、上着のラペル(テーラードカラーの下衿部分)と交差接触する左右側面と、鋭角的な剣先部分に発生します。 また、多くのネクタイ生地は、絹素材の光沢を生かすために朱子織構造となっており、タテ糸が表面に多く現れるように織られています。このため、タテ糸が先に摩耗し、ヨコ糸が残るという特徴があります。 この製品の損傷状態においても、損傷部分には、ヨコ糸が多く残り、タテ糸だけが消失している状態が見られます。 タテ糸だけが消失するという現象は、過激な力で摩擦したり、引き裂きなどの影響では発生したりせず、微かな接触が長期間にわたって繰り返されることによって徐々に、表面に表れているタテ糸の繊維だけが摩耗することによります。 織構造として、タテ糸はヨコ糸に一定の間隔で押さえられているため、表面に…
この記事は有料会員限定です。ログインまたは新規メンバー登録と利用料をお支払い頂くとお読みいただけます。
DB利用のみ登録希望の方 会費 : 800円/月(税別)
また、新規登録によって、一般社団法人日本テキスタイルケア協会研究会員への申込資格を取得することができます。