ポリエステルフィラメントの熱損傷

スカートをクリーニング後、チュール部分に穴開きが発生しました。チュール部分の繊維素材は、ポリエステル100%です。 チュールの特徴的な六角構造が、穴開きの周辺で崩れて、繊維が絡み合っていることから、この穴開きは、最初は小さかったものが、モミ作用によって繊維が絡みながら穴部分が拡大したということを示しています。 一部の糸が切れ、小さかった切断部分が、クリーニング工程によって拡大したものと判断されます。最初の穴開き(繊維の切断)の原因については、繊維の切断面を観察するとわかります。この場合、切断された繊維の先端は、全て丸みを帯びているところに特徴があります。このことから、熱による溶融が原因であると考えられます。 ポリエステル繊維は、255℃以上の温度で溶けるという性質があり、日常ではタバコの火の粉(約900℃)などとの接触でも溶けてしまいます。 以上からこの事故は、何らかの熱源とチュー…





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