アセテートパイル織物の光沢変化

婦人コートの前身頃に光沢の異なる部分が現れました。また、右裾部分が赤味を帯びています。 光沢の異なる部分を、顕微鏡で観察すると、他の正常な部分に比べて、アセテート繊維のパイル(毛羽)が斜めに倒れていることがわかりました。 この状態は、蒸気やブラッシング等では修整できず、この形状に固定されています。 アセテート繊維は、熱によって繊維が軟化しやすく、また温度が下がるとその形が固定されてしまうという性質(熱可塑性)があります。 この事故の状態から、アセテート繊維のパイルは、基布に張り付くほど倒れている状態ではないことから、アイロンなどによる影響ではなく熱風または蒸気(スチーム)による影響であると見られます。パイルなどの起毛構造は、織構造などに比べて、繊維全体が熱の影響を受けやすいためこのような現象が起こりやすいといえます。水分の影響で、光沢変化を起こすレーヨンや絹のベルベット製品の場合、…





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