一見シミのように見える交織品の虫害

  紳士スラックスをクリーニング後、左内股部分に、シミ状のものが発生しているのが見られました。 一見すると、グレーの生地に発生した黒いシミのように見えますが、顕微鏡観察の結果、虫害による損傷であると判定しました。 この生地は、毛85%、ポリエステル15%の組成であり、実体顕微鏡の観察によって、グレーの毛繊維によるヨコ糸、白い毛繊維によるヨコ糸、黒の毛繊維によるタテ糸、白の毛繊維によるタテ糸、黒のポリエステル繊維によるタテ糸によって構成されています。 このうち、黒のポリエステル繊維以外の白やグレーの毛繊維が虫害にあったために、損傷部分だけが、黒っぽい状態になっており、ポリエステル糸が残っていることから穴開きに至っていないものであるといえます。 また、糸の先端にほぐれた形跡があることから、この損傷がクリーニング処理(回転ドラム式洗浄及び乾燥)工程以前に発生していた可能性が高いとい…





この記事は有料会員限定です。ログインまたは新規メンバー登録と利用料をお支払い頂くとお読みいただけます。
DB利用のみ登録希望の方 会費 : 800円/月(税別)

また、新規登録によって、一般社団法人日本テキスタイルケア協会研究会員への申込資格を取得することができます。

新規メンバー登録

ログインはこちら