工場内で発生した圧擦損傷事故
仕上がったズボンの右腰前あたりに損傷が見られました。 損傷部分を観察すると、損傷部分は激しく目寄れしており、生地構造が変形していることがわかります。また、損傷部分全体に、白い物質が粉状に付着しています。 損傷部分を、実体顕微鏡観察試験しますと、細かく切断された羊毛繊維と白い粒子状の物質が見られます。 この白い粒子状の物質を採取し、顔料（塗料）確認の定性試験溶剤であるN-メチル-2-ピロリドンによる反応を実体顕微鏡で観察すると、粒子が溶解しました。このことから、この粒子は、顔料または塗料である可能性が高いといえます。 また、切断された羊毛繊維や粒子状の親油性物質が多数残留し、叩き落すことで剥離することから、この損傷事故が油性洗浄に効果のあるドライクリーニング工程後に発生した可能性が高いといえます。 以上から、この事故は、ドライクリーニング工程後、工場内において何らかの事情でペン…
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