摩擦損傷に見える虫害

注文服の背広をクリーニングしたところ、前身頃に損傷が発生しているのが見られました。 一見すると、摩擦か薬品による損傷のように見えますが、顕微鏡観察の結果、虫害による損傷であると判定しました。 実体顕微鏡の観察によって、糸の先端にほぐれた形跡があることから、この損傷がクリーニング処理(回転ドラム式洗浄及び乾燥)工程以前に発生していた可能性が高いといえます。 また、以下の点が注目されます。①穴開き周辺に硬化や変色等の変化が見られない。②切断された繊維の先端に焦げによる蛋白質の炭化や溶解による先細りが見られない。以上の2点から薬品及び熱による穴開きではないと判断されます。③切断された繊維の先端に分裂が見られないことから、摩擦による損傷の可能性は無いといえます。④一本一本の微細な繊維が不規則に切られています。 また、素材が毛(蛋白質繊維)であること、形状、類似の事例報告などからも、虫食いに…





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