ポリエステル裏地の溶解

紳士ジャケットをクリーニング後、右裾裏地部分に9×2cm程度の損傷が見られました。  損傷部分の切断面を見ると、ポリエステル繊維が溶解した形跡が見られます。 損傷部分の下に接する折り返しのヘムや脇縫いの割りの部分に損傷は無く(顕微鏡で観察すると縁の部分は溶解しています)、この損傷の状態から、ポリエステル裏地だけが瞬間的に溶解したものと見られます。 ポリエステル繊維の融点は255~260℃であり、アイロンの最高温度は日本工業規格で210℃とされています。このことから、アイロン等による接触原因は考えられません。 損傷全体の形状、左右の先端部のやや丸みを帯びた形状から、旧型の円筒型ストーブの天板縁部分などに接触した場合にこのような形状の損傷に至ると推測されます。損傷部分以外の周辺裏地の一部にも表面の溶解が見られ、300℃以上の金属への瞬間的な接触が原因であるといえます。…





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