スラックス裾の擦り切れ

　紳士スラックスの左裾前内側に損傷が見られました。   　まず、損傷の原因を確認するために、顕微鏡による検査を行いました。 　実体顕微鏡で観察すると、損傷部の羊毛繊維の断面が、箒状に分裂していることに特徴が見られます。光学顕微鏡でも繊維の分裂が見られ、この損傷が習慣的な摩擦によって徐々に発生していたことがわかります。 　また、右裾内側を詳細に観察すると、左側とほぼ対称な部分に、毛羽立ちが発生しており、顕微鏡による観察でも損耗した繊維が見られました。 　以上から、この損傷は摩擦の繰り返しによって、徐々に繊維が切断され、クリーニング工程によって、屑状になっていた繊維が除去されたことによって、損傷状態が露見したものであるといえます。これは、損傷部分の繊維がほぐれていることからも、クリーニング工程以前に損傷が発生していたことがわかります。 　消費者には、自転…

また、新規登録によって、一般社団法人日本テキスタイルケア協会研究会員への申込資格を取得することができます。

新規メンバー登録

ログインはこちら