裏コーティング樹脂の溶解による変形
婦人コートをドライクリーニングしたところ、裏地が大きく露出するほど表地が縮みました。 裏地をはがして、表地の裏を見ると、ムラに剥離した接着樹脂が見られ、互いに接着して表地を変形させています。 バックライトで撮影すると、樹脂剤の全体的な剥離の状態が鮮明に見られます。 また、顕微鏡観察すると、溶解の状態が良くわかります。 ポリウレタン樹脂にはエステル系とエーテル系のものがあり、保管中の湿気などによる加水分解の劣化によってボロボロ状態に剥離するものがエステル系、ドロドロになりべたつくものがエーテル系です。 この事例は、収縮したのではなく、表地の裏に貼られたボンディング剤であるポリウレタン樹脂が劣化したことにより、ドライ溶剤を吸収し可溶化状態になり、クリーニング工程による揉む、回転するなどの物理的な作用によって、接着樹脂が表地から剥がれ、乾燥時に揉まれた状態のまま再接着した…
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