色糸から白糸への移染による変色

紳士ジャケットをドライクリーニング後、左袖のパートで褐色に変色している部分が見られました。 この製品は、緯(よこ)糸に綿50%、経(たて)糸に麻50%の生地を使用して作られています。 よこ糸の綿は白色であり、たて糸の麻は褐色系統の色糸が使用されています。表面に色糸が多く現れる構造になっており、見る角度によって白いよこ糸の見える量が異なることから玉虫状の光沢に見えます。 実体顕微鏡で、正常部分と比較して見ると、変色している部分の繊維は、麻色糸と同系統の糸に染まっていることがわかります。 このことから、この変色は麻の色糸から出た染料が、同じ植物繊維である綿糸を汚染し、白い部分が濃色化したことによって、変色が発生したものであるといえます。 原因として、ソーピング不足か色素定着(フィックス)工程不十分であったロットが使用され、この生地に雨などの水分が付…





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