ショルダーバッグによるとみられるコート脇部分の摩耗損傷

毛100%の婦人ロングコートを、クリーニングしたところ左右の脇ウエスト部分に幅5~6cmにわたり損傷が発生しました。 この事例の外観を詳細に観察すると、以下の点が注目されます。 ①左右の損傷は、ほぼ同位置の高さに対称に発生している。 ②同じ毛素材でありながらヨコ糸だけが消失している(薬品による損傷ではない)。 ③横糸脱落部の周囲にも正常部とは異なる毛羽の損傷が見られる(損傷部分を中心とした磨耗がある)。 ④通常ラペルに隠されており、損傷する要素の無い肩章部分の先端に毛羽の損傷が見られる(肩とウエスト部分に発生)。 また、顕微鏡によって事故部分及び周辺を観察した結果以下のようなことがわかりました。 ①この生地は長繊維のタテ糸が下となって短繊維のヨコ糸が表面に出る構造になっている。 ②ヨコ糸の繊維だけを掻き出す起毛加工である。 ③ヨコ糸脱落部分の周辺においても起毛繊維の脱落が…





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