生糸無撚糸使いによるタテ糸の擦れ

ドライクリーニングしたところ、アンサンブル製品のキャミソールの後身頃上、特に両肩部分の繊維が脱落しました。 この生地を、顕微鏡観察した結果、タテ糸は精錬の無い生糸(吐糸)の無撚糸(紡績していないフィラメント)であることがわかりました。繭から取り出した状態の生糸は、そのままでは切れやすく、一般に紡績して使用されます。この製品では、繭から引き出した状態の5~6本の繊維をそのまま無撚糸として使用しています。ある意味では、大変繊細なおしゃれ着であるともいえます。 生糸の表面はセリシンと呼ばれる膠(ニカワ)質で覆われていますが、この製品を直接肌に触れる状態で着用すると、皮膚の湿気を吸収し生糸は一層弱くなります。 事故部分は背中の左右の肩甲骨にあたる部分であり、この製品の上から上着を着用すると最も上着の生地と擦れる位置にあたります。このことから、これは着用摩擦によって、タテ糸である生糸が切れ、ク…





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