ウールのベロア調生地の毛羽が部分的に脱落し変色している

クリーニング後、ウールの婦人ジャケット前身頃左下の毛羽が消失していた。 クリーニング店では、損傷のある衣類であっても、受付時点の検品が不十分であったり、事故部分をシミと考えてそのまま洗いに回すケースが多いようです。 脆化している繊維は、汚れも含む他のゴミと同様の状態に近くなっていることから、クリーニング工程によってリントとして脱落することになります。 ベロア調生地の毛羽の消失という外観上の特徴からは、繊維の脆化損傷については、一般に①虫食い、②たばこなどによる焼け焦げ、③薬品による影響が考えられます。 ①については、基布が事故部分だけオレンジに変色していることからその可能性は無いと思われました。 ②③について検証のため実体顕微鏡によって観察したところ、写真2点のように、羊毛繊維の先端が徐々に細くなっている状態が見られました。これは、薬品による溶解を示す特徴で、羊毛を溶かす薬品…





この記事は有料会員限定です。ログインまたは新規メンバー登録と利用料をお支払い頂くとお読みいただけます。
DB利用のみ登録希望の方 会費 : 800円/月(税別)

また、新規登録によって、一般社団法人日本テキスタイルケア協会研究会員への申込資格を取得することができます。

新規メンバー登録

ログインはこちら