職業特性によるバッテリー液付着の2件の衣料品損傷事例

船長さんの防水パンツ 釣用の防水パンツに、点々とシミ様の硬化と変色が見られ、一部分には穴開きが発生しています。 顕微鏡観察すると、硬化部分は繊維が溶解していることがわかります。 また、穴開きの周辺に輪どり状の黄変が見られることから(写真)、液体が付着して浸透し、ナイロンの溶解、硬化、穴開きが発生したものと考えられます。 ナイロン繊維を溶解する物質としては、強酸が想定されることから、リトマス試験紙による酸化測定を行ったところ、pH2~3の強酸の反応が得られました(写真)。 日常生活で接触する強酸としては、自動車のバッテリーなどに使われているバッテリー液(希硫酸)があります。希硫酸は、付着後徐々に濃度を増し、ナイロン繊維を溶解します。この場合、着用者に確認したところ、着用者は釣舟の船長であり、船舶に使用しているエンジンのバッテリー液によるものであることがわかりました。 露天…





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