ドライクリーニングによって濃色のシミ状のものが現れ消えない

ドライクリーニングしたところ、襟周り、胸、袖の一部、袖口が濃色化しました。

   この製品は、表地と裏地を貼り合わせたボンディング加工品です。貼り合わせている樹脂はポリウレタン系接着剤であると思われます。ポリウレタン樹脂は、加水分解する性質があり、また、繊維製品技術研究会(ATTS)の報告では、皮脂成分の影響によって分解が促進されるとされています。この製品での濃色化は、襟周り、脇部分、袖口などの発生部位に特徴があります。

ブラックライト照射試験によると、濃色化している部分だけに蛍光反応が見られます。これは、皮脂に含まれるアミノ酸の反応であろうと推測されます。

   ヨーロッパ生まれのファッションには、高温湿潤気候のわが国の風土では、加水分解が促進されやすい傾向のものも少なくなく、特にクリーニングのポリ袋に入れたまま保管すると通気性が損なわれ接着樹脂の分解が促進されます。

またこの製品の接着樹脂は、断面を顕微鏡観察した結果、濃色の樹脂が使用されており、これが皮脂と汗の影響で分解し、ドライクリーニング溶剤を吸収することによって滲みだしてきたものであると考えられます。