綿起毛素材とウール織物の組み合わせ―染料の経時劣化で色調に差

この製品は、身頃部分はウール、襟と袖部分は綿という特異な構造のものであるといえます。     日本では通常、アパレル製品を設計するときに、綿とウールという異質な素材の組み合わせは、一般には避けるようにしています。綿は吸水性が高く、汗などの水洗いでなければ落ちない水溶性汚れを吸収しやすいという性質があり、逆にウールは、水を吸うと繊維表面のスケール(エピキューティクル)が開くため、揉み洗い作用で確実に収縮するという性質があるからです。 また、綿は一般に反応染料、ウールは酸性染料で染色され、特に綿の反応染料は、汗成分や紫外線の影響を受けて退色しやすいという性質があります。品質表示には、K-OSという繊維製品品質表示者番号表示がありますが、これは平成9年の法改正で廃止されている表示で、この製品は製造後7年以上経過しているものと思われます。 素材や染色方法の極端に異質な組み合わせは、徐々に…





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