ボンディング製品の加水分解による接着樹脂のシミ出し

表地と裏地を接着剤で貼り合わせた「ボンディング加工」の衣類をドライクリーニングしたところ、接着樹脂が溶解して生地全体に染み出してきました。

 

このような衣類は、薄地の素材でも生地にハリや厚みを持たせることができる反面、生地内部の接着剤が経時劣化してしまうために、千葉県消費者センターの試買テスト報告などでは2~3年が寿命とされています。

接着剤が分解劣化すると、ドライクリーニング溶剤を吸収し、表面にシミ出したり生地が部分的に剥離してミミズ腫れのようになる「ぶくつき」等のトラブルが起きやすくなってしまいます。

 

 ポリ袋に入れたままなど湿度の高い状態で長期間保管したり、太陽光や蛍光灯などの紫外線等の影響を受けると徐々に樹脂が加水分解します。接着剤がべたつき始めると、クリーニング溶剤に溶け出しやすくなり、生地に「ぶくつき」を発生します。

コートなどの重衣料には、最低でも5年以上は着用したいという消費者が多いと思われますが、メーカーや販売業者は、販売時に説明する責任があると考えられます。また、このような事例は欧米に比べ日本に多く、欧米と湿気の多い日本との気候風土の違いも指摘されています。欧米ブランド製品は、ポリ袋から取り出して通気性の良い状態で保管するようアドバイスしましょう。