虫害に見える引っ掛け傷

ズボンをクリーニング後、前身頃部分に2か所の損傷が見られました。 　2か所の損傷について、外観観察すると繊維が消失した穴開きとは見られません。また、損傷部分を側面から実体顕微鏡で観察すると、切断された糸が、組織内から上方向に飛び出しています。 　虫害の場合は、害虫が食害するため、繊維が喪失し穴が開くことになります。また、害虫は生地の表面から食い進むため、糸が飛び出すという現象は見られません。また、生物顕微鏡で観察しても、虫害の特徴であるえぐるように斜めに切り取る切断面が見られませんでした。 　以上からこの損傷は、何らかの突起物による引っ掻け傷のように見られます。 クリーニング後にこの損傷が見られたということであれば、着用中に傷があったものが、クリーニングの揉み作用によってほぐされ、目立つようになった可能性と、クリーニング作業中に引っ掻け事故があった可能性の両方が考えられます…

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