水分過剰ドライによる絹分繊化
表地絹100％の婦人ハーフコート（フード付き）の本体を石油系ドライクリーニングしたところ全体に白っぽくなりました。 白化は、全体に発生しており、着用摩擦などの原因は考えられず、洗浄・乾燥工程時に発生したものであると見られます。 実体顕微鏡で観察すると、フードの未洗浄部分では、繊維の乱れは見られませんが、洗浄された本体部分では、絹繊維が微細に分裂起毛している状態が確認されます。 白化が見られない正常部分の顕微鏡写真 白化した部分の顕微鏡写真 これは、絹繊維独特のフィブリル化（分繊化）といわれる現象で、湿摩擦によって発生するものです。 ドライクリーニングにおいて、水分が過剰に存在した場合、吸湿性の高い絹繊維が水分を吸収し、洗浄、乾燥のドラム回転工程によって全体が摩擦されて繊維が分繊化したものであるといえます。 繊維が分繊化することによって、光を乱反射するよ…
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