シルク繊維の分繊化による白化

紳士ズボンの左側面に大きな浪打ち(パッカリング)が見られます。状態を観察すると、特に中央の縫製ラインの右側(後部)に多く発生していることがわかります。  また、角度を変えてみると、ジグザグの線状に白化していることがわかります。  この製品の素材は、絹51%、毛49%と組成表示されていますが、実体顕微鏡で観察すると、白糸は絹100%で、濃色糸は毛と絹の混紡糸であることがわかります。また、事故部分のタテ糸の絹繊維が分繊化しています。  分繊化は特に絹繊維に発生しやすい現象で、フィブリル化ともいわれています。絹繊維はミクロフィブリルといわれるより微細な繊維の集合体で吸水すると少しの摩擦によって分裂するという性質があります。分繊化すると光を乱反射して白っぽく見えるようになります。白化がジグザグの線状になっていることは、その部分がシワ山になって摩擦を受けたことを意味しています。着用して…





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