羊毛製品の強アルカリ剤による損傷

背広を石油系ドライクリーニング後、上着後ろ裾部分に損傷が見られました。  外観観察からは、上着の損傷は、飛沫状に点在し変色しています。硬化はなく変色が激しいことから、タンパク質繊維の場合には硬化炭化する熱の影響では無く、脱色損傷であることから強アルカリによるものと見られます。  実体顕微鏡で損傷部分を観察すると、毛繊維の先端が針状になっていることから、薬品による溶解であることがわかります。  東京都立産業技術研究センター作成の「各種繊維の各種試薬に対する溶解性」表から、毛繊維が溶解する薬品は、次亜塩素酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムとされています。 日常生活で次亜塩素酸ナトリウムを主成分とするものは、塩素系漂白剤、カビ取り剤、トイレ用洗浄剤などがあり、水酸化ナトリウムを主成分とするものはパイプ洗浄剤、業務用レンジ洗浄剤などがあります。付着の状態を観察すると脱色している部分と白…





この記事は有料会員限定です。ログインまたは新規メンバー登録と利用料をお支払い頂くとお読みいただけます。
DB利用のみ登録希望の方 会費 : 800円/月(税別)

また、新規登録によって、一般社団法人日本テキスタイルケア協会研究会員への申込資格を取得することができます。

新規メンバー登録

ログインはこちら