糸切れによるニットのほつれ

婦人ニットワンピースをクリーニング後、後ろ右腰部分、左袖などに穴あきが見られました。  この製品の素材は、アクリル60%、ナイロン30%、アンゴラ10%で構成されていることから、虫害である可能性は極めて低いといえます。  糸の切断面を実体顕微鏡で観察すると、繊維がほぼ同じ長さで切れており、虫害よりも糸切れによるものであると見られます。繊維の切断面を光学顕微鏡で、さらに拡大して見ると、繊維はほぼ真横に切られており、斜めにえぐり切るような虫害の特徴はなく、引っかけ傷による繊維の切断であるといえます。通常の引っ掻けなどによる切断では、最も負荷のかからない状態で断裂するために、切断面がほぼ真横になります。  以上からこの損傷は、引っかけによって糸が切れるか一部損傷していたことによって、クリーニングの洗浄工程のモミ作用などで編み構造がほつれ、穴あきが拡大したものであるといえます。…





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