日本における職業洗濯の誕生と技術-1

『クリーニングの理論と実際』より再編 毛利 春雄 ㈱オフィス毛利 1.洗濯業のおかれた立場 我が国で、洗濯業者が独立したのは、江戸時代に入ってからですが、それよりだいぶ前から染物を扱う者が、洗い張り等を兼ねて仕事をしていたようです。 平安朝に入り、世の中が安定してくると、洗濯も誰でもがやる仕事から専門化し、かつ汚れたものを扱うところから賎しい仕事と考えられるようになりました。下婢の仕事として行われた様子は、伊勢物語などに、「さる賎しき業」という言葉を用いてあることでわかります。 伊勢物語(1200年頃)にある話は、姉妹2人がいて、姉は貴い身分の人に嫁いで不自由なく暮らしていましたが、妹は、貧しい人の所に行ったので苦労していました。その貧しい男が暮れに、正月に着る晴れ着がないので自分で着物の洗い張りをしようとしました。ところが「さる賎しき業も習はざりければ」失敗して衣服を破い…





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