顔料無地染め品がドライクリーニングで脱色

婦人セーターを、ドライ(石油系)クリーニングしたところ全体にムラになりました。

   素材は、綿100%です。一般的には、綿素材は反応染料という染料で染められることが多く、この場合、汗や日光の影響によって、染料が酸化して退色することがありますが、この製品の色ムラの状態からは、このこととは明らかに異なります。ドライクリーニングで、色落ちする場合、顔料による着色製品である場合があります。

  最近では、高温をかけずに着色できる無地染めの方法として、顔料を使用した吸尽染色というものがあります。これは、染料ではなく顔料を水に溶いて染色する方法で、接  着樹脂が溶剤に溶けやすいという性質があるため、ドライクリーニングの繰り返しに耐えられません。

  顔料の判定試薬であるNメチル2ピロリドンで試験をしてみたところ、写真のように顔料が溶け出してきました。このことから、この製品は顔料吸尽染色法で染められた製品であることがわかります。1回のドライクリーニング試験には耐えられることがあっても、繰り返しドライクリーニングには不向きな製品であり、取扱絵表示ではドライ不可とすべきです。

また、汗を吸収しやすい綿100%の製品で、水洗い不可というのは実用性の点からも問題があるといえます。表示は、「ドライ不可」「手洗い」とすべきでしょう。